クラシック音楽は細かい表現まで作曲家が示した「楽譜」があるので、
「即興性」と聞くと違和感があるかもしれませんが、
即興性は、
演奏者がその場で感動する心を持って弾いていれば自然に出てくるものなんです。
いつもの練習通り弾くことが当たり前になって、音楽を感じずに練習していると即興性は出てきませんが、
音楽的な耳と頭を使えると面白いことができます。
今日はクラシック音楽の演奏において”即興性”が生まれる、少し極端な例を話します。
即興性の例
例えば、
静かでゆっくりな曲の中の、とある1音を弾く時に、
頭で理想の音を鳴らさずに弾いてしまい、
無意識に大きな音が出ちゃったとしよう。
(もしくは、
弾く前に頭で鳴らしたけど意図しない響きが出たとしよう。)
その時に、
大きな音を無視して今まで練習したまま次を弾こうとすると、
大きな音は『意味の無い音』になってしまいます。
ですが、
鳴ってしまった音を耳で感じて捉えていくことで
その後に続く音や休符を使い、時間やエネルギーを操作することで
無意識に出てしまった音に対して後付けで価値を与えることができます。
それが耳を使っているということです。
具体的な方法としては、
・大きな音が出てしまったフレーズはそのエネルギーを維持して次に持っていく
・フレーズ単位でエネルギーを減衰させていく
・意図しない大きな響きが出てしまった後、
あえて時間を使ってその音のエネルギーを減衰させてから次の音に繋げる
など。
そうすると、
楽譜には書いてない指示なので、多少なりとも作曲家が言いたいことと違うことを聴衆に伝えてしまいますが、
“意図せず出てしまった大きな音”に音楽的な意味を後付けして即興性を出すことはできます。
これは少し極端な例でしたが、
演奏家たちは自分たちが奏でる音楽に意味を感じながら弾いているので、
意図しない音が出てしまっても、それに意味を付ける作業を自然とやっています。
とにかく、
練習の時からちゃんとしたソルフェージュ能力(音楽を感じる能力と、それを支える知識)を持って練習していれば、
『生(ナマ)』の素晴らしさを演奏で伝えることができます。