ピアノ練習法

身体の声を聴く。 その2

さて、昨日の続きです。



音に呼吸をしてもらうためには、タッチをするときに
上から下にタッチするというよりも
下から上にタッチするイメージを強く持ちます。

 

これを実際にピアノを弾かずに言葉だけで説明するのは非常に難しいのですが、
語弊を恐れずに言うと、


鍵盤が上から下へ向かっている時は音が息を吐いている状態。

鍵盤が下から上へ向かっている時は音が息を吸っている状態。

下がって動かない状態や上がって動かない状態が維持されると、呼吸量が少ない、もしくは呼吸を止めている状態。


人間が息を吐いてばかりで吸わなかったらどうなるか考えてみてください。
もし吸えない状態が続いたら生きることはできません。



ピアノでも、鍵盤を上から下へタッチするだけでは全く足りないのです。

完全な呼吸のためには、下から上への動き…
つまり、

鍵盤が上がってくる重みを指で感じながら
音の余韻を耳で感じることで
初めて音が息を吸ってくれます。

音が呼吸しないとエネルギーが維持できなくて、
次の音に自然なエネルギーを伝えることができません。

不自然なエネルギーの受け渡しになってしまいます。



リレーの時に、次の走者にバトンを手渡しせずに
遠くから投げて渡すようなもの。

バトンを投げたら、次の人はキャッチできない可能性もあるし、無駄な力と動きを使ってしまうことになります。




さてタッチを練習する時の注意点としては、

慣れるまでは大きな音で弾かないということ。

何故かというと、身体が固くなってしまうからです。


そもそも
音の強弱というのは、
音のキャラクター・パーソナリティ・性格のことです。

そのキャラクターが変わるから結果として音量が変わるだけの話。

クラシック音楽の場合、一部の現代音楽を除いて
強弱が書いてある時に音色やキャラクターを変えずに音の大きさ小ささを変えて
もあまり意味がありません。


どんな音だとしても、”音色”が必要なのです。


音の色を感じるためにも、
音に呼吸してもらうことが必須。

そのためのタッチ。

明日も続きます!


※最近書いている記事は、アマチュアの方や初心者の方がすぐできるような内容ではないと思います。
プロの方やプロを目指している学生さんの心のどこかに残れば良いなぁと思って書いております。
もちろん、ここに書いてある私の体験や教え方をそれぞれ個人個人のレベルや状況に落とし込めれば何も問題なのですが、
そういう人は是非ともプロになってください。
学ぶ才能ありすぎです。笑

そうでない方は、どうか個人レッスンを受けてみてください。
才能がある人の独学は良いのですが、普通は知識があってもなかなか実践できないものです。