音楽

右手と左手の関係 〜練習における意思疎通〜

新しい曲を練習する時は、それが初見で弾けるようなレベルのものだとしても、

脳の回路をちゃんと作るためには片手ずつ(声部ごと)の練習が必要です。
 
その時に私がいつも考えていることは

片手・1つの声部を、1人の人間として捉えること。
 
人が歌っているのだから
その声部に命が入らないわけがなく、
 
他にも歌っている人がいるのだから
他の人のことを気遣ったり考えたりしないわけがないのです。
 
 
 
例えば、
 
この架空の人物たち(右手さん、左手さん、もしくはソプラノさん、テノールさん等 = プロの演奏家と仮定する)がリハーサルに向けて1人で練習するとき、
自分のパートを歌いながら他人のリズムやメロディー、ハーモニーを感じながら練習します。
 
そうすることで、初めてのリハーサルだとしても相手と瞬時にハモることができるし、
音楽で会話をすることができます。
 
 
もし1人の練習の時に相手のことを考えていなかったら、
初めてのリハーサルで相手に無駄な時間を過ごさせることになります。
 
 
 
つまり!
 
ピアノで片手ずつ・声部ごとの練習をする時にも、
他の声部やもう一方の手が何をするのかわかっていれば、
両手で合わせる時に無駄な時間を過ごさなくて済むわけです!
 
・右手の練習の時に、左手を頭に鳴らしながら練習する
・ソプラノを弾きながら、バスを歌う
etc.
 
 
社会においても、
他人と過ごしているわけだから多少の協調性や気遣い、信頼が必要になってきますよね。
 
自分のことだけ考えて相手のことを考えなかったら、ただの独りよがり。
一方的に自分の伝えたいことだけ伝えて相手の言うことは聞かなかったら、ただのわがまま。
 
自分の心地よい場所や良い精神状態を得るために他人の言動の全てを決めることはできない。
 
相手との相対的な関係の中で、バランスを保つように自分の立ち位置を決めるのが自然。
 
 
 
さて、人間関係では自分を守るために相手と距離を置いたり別れたりすることが可能なわけですが(ここ大事!笑)、
 
残念ながら右手と左手は別れることができません。笑
 
 
ただ幸運なことに、
ピアノソロの場合は全ての音のバランスを演奏者が決めることができる。
 
全ての音の心地よい場所を自分で選ぶことができる。
 
 
右手と左手、もしくはそれぞれの声部が、
時間と空間を共有して意思疎通することが練習をする一つの意義だと思います。