楽譜は出来るだけ自筆を見たいのですが、
自筆譜を見られない場合は原典版や校訂された楽譜に頼るしかありません。
ただ、その楽譜に頼ると決めたなら、
その楽譜から何が読み取れるのか真剣に感じ取っていく必要があります。
先日こういうツイートをしました。
つくづく
「楽譜を読むのって面白いなぁ」と思うのですが、シューマン:フモレスケのEinfach und zartのこの部分、
<>の頂点が3拍目ではなく少し後ろにずれていることによって、
歌い方が変わるんですよね。3拍目を歌うために、
誰にも気づかれないくらいほんの少し長い時間がかかる。 pic.twitter.com/3391oPUVg1— 佐野 主聞 / ピアニスト×ブログ×YouTube (@Shimon_Sano) May 7, 2019
ツイートで書いた通りなのですが、
<>という表情記号がついているのでこれは抑揚を表しています。
大きくする、小さくする、という結果を求めているのではなく、歌った時の抑揚を求めているんです。
その<>の位置、もし自然に歌うのなら3拍目の頭に頂点がくるはずです。
なぜなら、3拍目の内声が一番高いところに位置しているから。
(これはメロディーを歌う時の基本の一つで、音が高くなればなるほど音のエネルギーが上がります。)
でも実際は<>の位置が本来ありそうな場所からずれている。
自分で実際に歌い比べてみたらわかると思いますが、
明らかに膨らむ頂点が変わることによって歌い方が変わりますよね。
それを感じて弾くと、自然と弾き方が変わります。
私の感覚では、
この抑揚のズレによって3拍目の四分音符が通常よりも長くなります。
この抑揚を表現するためには、ほんの少し長く歌わざるを得ない。
なぜかと言うと、
脹らみの頂点が後ろにずれることによって、その頂点からエネルギーが下がってくるために時間がかかるからです。
ただ、時間を取り過ぎると音楽の流れが悪くなるので全体の流れとのバランスを考えるのが重要になってきます。
まとめ
今日はサクッとした記事になりましたが、
演奏家は作曲家の伝えたいことを読むためにものすごく細かいところまで読んで
演奏に反映させていきます。
理想を追い求めていくと時間は無限にかかるけど、
妥協はしたくない。
今日も読んでくださり、ありがとうございました!