この記事は「ピアニストになりたい!」と思って日々練習を頑張っているあなたに向けて、
私の過去のエピソードを交えつつ、いただいたお悩み相談に対して私の意見を書きます。
小中高生向けに書きますが、大学生以上の方も読んでいただけると嬉しいです。
ジャンルを問わずピアノを仕事にしていくなら今の時代いくらでも可能ですし、
クラシックのピアニストとして演奏をしていくということも可能です。
(それが良いか悪いかは別として。)
ただ、今日私が書きたいのは「ピアニストになるための方法」ではなく、
「ピアノを上達させるための方法とその考え方」です。
結論から先に書くと
・好きな演奏をとにかく真似する
これに尽きます。
因みに「ピアニストになるための方法」は、とにかく演奏し続けること。
当たり前じゃないか!とツッコまれそうですが、
これは真理だと私は考えています。
演奏しない人は「演奏家」とは呼ばれません。
演奏家になりたいなら演奏する。
それができる環境に身をおく努力をする。
これが重要。
さて、
前半は私の過去のエピソード、
後半はピアニストになりたい方の相談に答えたあと、
ピアノの先生方に伝えたいことを書きます。
前半は自分語りなので、興味のない方は飛ばしてください!
私の過去のエピソード
まず、私は物心つく前からカセットテープで毎日何時間もクラシック音楽を聴いていました。
夜寝る前は必ずその日聴きたいクラシックを聴く、というのを中学まではやっていたと思います。
高校になってからは携帯電話というものが世の中に出て、
メールだけではなく「16和音」とか「着メロ」の虜になってクラシックを聴く時間は減ったと思う。
小学時代
私は小学4年生くらいまでは親がほぼ付きっ切りで1日2〜3時間ピアノを練習していました。
コンクール前の夏休みなんかは、
「大人は一日8時間労働なんだから、あんたも8時間練習しなさい!」という謎&理不尽理論により、1日8時間練習してました。
「よくピアノを辞めなかったな」と思う。笑
でも、親にも先生にも愛があったし、自分が練習中に楽しくなっちゃった時は8時間なんてあっという間だったのでそこまで辛くなかった気がする。
ただ、とにかくレッスンは厳しかったので2,3回くらいは「もう辞める〜!」と号泣しながらレッスンの後に親に電話をかけていたのを思い出します。
(その当時は公衆電話 with 10円玉 or テレフォンカード!)
コンクールも沢山出て、全道優勝や全国大会出場などをしてはいましたが、
私が習っていたピアノの先生が「コンクールを受けるか、それとも少し休憩してコンクール以外の曲を弾くためにコンクールを受けない選択をするか」、
それを私に選ばせてくれたのはとてもありがたかったです。
なぜなら、
ピアノを弾くのは先生のためでも親のためでもなく、
自分のためだから。
他人を喜ばせようと思って自分のやりたい音楽を曲げてしまうと、
他人の言うことを聞いただけのつまらない演奏になります。
そこには演奏者の個性が生まれません。
自分を捨ててまで他人のために生きると確実に幸福度は下がります。
自分を捨てることに幸せを感じるなら止めないけれど。
自分がやりたいことを表現できた結果、他人が喜んでいる。
これが自然だと思います。
(これについては反論もあると思いますが、その反論も理解した上で言っています。)
さて、
小学校〜高校生まで週に1回レッスンを受けていましたが、
私がやってきたのは、
好きなピアニストや好きな演奏の真似です。
とにかくこればっかりやってきた。
「この音(音色)どうやって出すんだろう!」
「この曲弾きたい!」
この好奇心をそのまま練習に活かした感じです。
とにかく演奏を聴きまくる。そして、自分の耳がキャッチした良いところを真似していく。
これが学ぶ(真似ぶ)ということです。
中学時代
私が「将来、自分はピアニストになるんだな」と確信したのは14歳の時です。
これはかなり早い。
それ以前にも、小学生5年の時に無我の境地というか、
弾いている最中に、弾いている自分が消えて聴いている自分だけを感じるという体験をしたのですが、
14歳の時とあるコンクールの本選で演奏していたら、
聴衆と自分を繋げている時間と空間をハッキリと感じて聴いている人たちの反応がわかり、「音楽を共有している!」という感覚がわかった時、
「あ、自分はピアニストとしての人生を歩むんだな」と演奏中に悟りました。
自分の天職を悟った14歳。
高校時代
天職を悟ったからといって順風満帆だったわけではありません。
高校の時は1、2年の時にイジメにあったし(カバンの中に牛乳をぶちまけられたりしてた)、とにかく狭いコミュニティーの中での人間関係に苦しみました。
でも、いじめてくる人たちの幸せを祈りながら毎日登校してたら3年生の時に一気にみんなと仲良くなった。
これは嬉しい経験でした。
今は、色んなコミュニティーを自分で自由に選べる時代になったので、
自分が居たい場所にいけば良いのですが、
やはり子供にとっては学校という狭いコミュニティーがメインになるので
うまくやっていけずに悩む人も多いと思います。
そんな中で平野啓一郎さんが提唱している分人主義は人間関係に悩む人の助けになるのではないかと思います。
「色んな自分が居ていいんだよ」という考え方。
そして、自分というものが出せるコミュニティを探せば良いと思う。
嫌な人がいたら離れていい。
そして、嫌な場所にいないといけないとしても、
他に自分の居心地の良い場所があることでストレスを軽減することができます。
私はイジメられて辛かったですが、ピアノがあったので不思議と大丈夫でした。
ピアノを弾くときは自分を解放できる。
大きな心の支えがピアノでした。それは今も変わりません。
そして、
高校時代は同年代の素晴らしいピアニストたちと自分を比べてしまうこともあったけど、
自分にしかできない音楽があることはわかっていたし14歳の時に「自分はピアニストになる」と悟った経験があったため、特に大きな挫折はなく続けてきました。
ピアニストになりたいあなたへ
過去のエピソードを語ったところで本題に入ります。(藝大入学以降の話はまたいつか話します。)
私はクラシックのピアニストなので、
「クラシック音楽」の観点から私が練習に置いて必要だと思っていることを書きます。
・とにかくいっぱい人の演奏を聴く!(できるだけ生の演奏で!)
・聴いた演奏から好きな音色を真似していく!
テクニック論とか奏法とか知識とか、そういうことよりもよっぽど大切なことが上記の2つ。これはクラシックだろうと他のジャンルだろうと変わらないですよね。
なぜなら、良いものを知らずに良いものを生むことはできないからです。
今の時代は昔と違ってCDなどを買わなくてもサブスクリプションのサービスが沢山あります。
動画配信サービスでも沢山聴けます。
それを利用しない手はない。
真似したくなるような素晴らしい演奏に簡単に触れられる時代のため、
今の子達の方が昔の人たちよりも確実に成長が早いです。
そして、私のブログのように無料で得られる情報が沢山あります。
情報の取捨選択には気をつけないといけませんが、これから更に情報の無料化は進むので情報に対してアンテナを張っている人が成長するきっかけを掴みやすくなっています。
寄せられた悩み相談(このパートは随時更新)
Aさんの悩み
・ピアノは好き、継続できる
・コンクールの曲ばかりでモチが下がっている
・他の習い事をやめたくなくて平日2~3時間くらいが練習時間のMAX
・ピアニストになりたいけど先生の厳しさがつらい
私の回答
・コンクールは音楽をせっかくピアノが好きな気持ちを歪ませる可能性もあるので、コンクールを受けたくないと思っているなら先生にそれを相談。
コンクールに入賞したからといってピアニストになれるわけではありません。
ピアノを愛する心が一番大切。
・平日に2時間も練習できるなら全く問題ないです!
逆にもっと友達と遊んだり子供として家族や友達と良い時間を過ごす方が人生に置いては重要だと個人的には思っています。
・生徒さんが先生を「厳しい」と感じるのは先生のせいなので、
もしその先生に習うのをやめて他の先生に変えるのが難しければ、
内緒で他の先生にレッスンを受けてみましょう!
私もセカンドオピニオンとしてのレッスンを常に受け付けていますし、
他のピアニストの友人も単発のレッスンをやっている人がほとんどです。
※悩み相談はLINEに送ってください。(質問箱では受け付けません。)
ピアノを教えている先生方へ
まずは生徒さんとの信頼関係をちゃんと構築してください。
もし先生自身がピアノで表現できていないにも関わらず、厳しい言葉だけで教えていたら、
どうやって生徒さんからの信頼が得られるでしょうか?
無理です。
自分が演奏で体現できていれば生徒さんは信頼してくれます。
そして、クラシック音楽の本質を掴んでいれば、
無意味に厳しいレッスンではなく、音楽の楽しさと奥深さを生徒さんと一緒に共有するレッスンになるはずです。
難しさは奥深さに変わり、厳しさは楽しさに変わります。
ただただ楽しいレッスンであれば良いと言っている訳ではなく、
音楽の奥深さを共有することができれば、たとえ教え方が多少厳しくてもそれは音楽の喜びに変わるのです。
私個人の意見としては、生徒さんに「レッスンが厳しい」と感じさせた時点でダメだと思っています。
感情的に怒るのは無意味どころか、生徒さんにとって害でしかありません。
常に生徒さんの立場に立って物事を考えてください。
そして、生徒さんを自分の所有物のように扱わないでください。
音楽の喜びを生徒さんと一緒に共有できる自信がない先生は、どうか勉強してください。
学んでください。
先生になったからといって学ぶことをやめてしまったら終わりです。
学ぶことをやめた人間を尊敬する人などいません。
人生死ぬまで謙虚に学び続けたいですよね。
まとめ
とにかく、沢山演奏を聴いて自分はどういう演奏が好きなのか知ることが大切です。
そして、好きな演奏を真似する。
私は高校時代にホロヴィッツやミケランジェリの演奏を聴いて衝撃を受けて、
真似ばっかりしてました。
でも、真似することで段々とその演奏のコアとなる要素が自分の中に染み込んで、
最終的に自分のものとなります。
自分が良いと思ったものを真似できる能力、
これはどの世界にいっても使えるので是非若いうちに身につけてください!
今日も読んでくださり、ありがとうございました!
※「1音だけでも真似てみる!」を実践した動画はこちら!