質問箱にこういうメッセージが届きました。
〜要約〜
私はピアノを専門的にやっていますが軽度難聴です。
伝音性よりは感音性気味。(伝音性は外耳・中耳に起因する難聴。感音性は内耳に起因する難聴。)
今のところ、ピアノをやる上で支障はない。
佐野さんは耳のことを語っていますが、私は自分の耳のことを他人に打ち明けるのが怖い。
音楽をやっている仲間たちに耳のことを打ち明けたことはありますか?
その時の反応はどんな感じ?
音楽をやっていて耳が悪いことで困ることは?
軽度の難聴を持っているが、人に伝えるのが怖い
質問ありがとうございます!
私はネットでもリアルでも耳のことは公にしています。
相手の反応が怖いと思ったことはありません。
なぜなら、もう自分自身というものを自分で受け入れているからです。
だってこれって、自分の力ではどうしようもないですよね。笑
自分のコントロールの範囲外なんです。
私の耳の状態
私の耳のことを知らない人のために説明しておくと、
私は祖母からの覚醒遺伝で生まれつき耳が悪くて小さな頃から3〜40回中耳炎にかかっていて内耳炎も2,3回経験があります。
外耳炎は10回くらいですね。
あまりにも病気になりすぎたせいか、右耳の鼓膜は一般的な厚みよりだいぶ薄いそうです。
右耳を塞いで声を出したときに左耳には外の空気を伝わった自分の声が聞こえますが、
左耳を塞いで右耳で自分の声を聞こうとしても自分の中で反響している声しか聞こえません。
そして、聞こえ自体は悪いのに鼓膜が薄いせいで音に敏感すぎてストレスがすごいかかるんですね。
自分が予想していない音とか思った以上に大きな音が耳に入ってくると、
一般的な人よりも多くのストレスが耳にかかります。
だから、人混みとか街中の騒音の中にずっといると思った以上に疲弊します。
耳栓を持ち歩くのは必須です。
内面のことはカミングアウトした方がいい
メンタリストDaiGoさんのこちらの記事を読んでみてください。
耳のことを「内面のこと」とするのは変かもしれませんが、
外見から判断できないことなので内面のことだと思って大丈夫です!
何が言いたいかというと、質問者さまは私が耳について語っているのをみて尊敬してくださっていますよね。
言いづらいことでも「自分にはこういうことがあって…」と話すことができる人間は強い人間だと思われます。
そして、打ち明けたことによって理解者ができて自分を肯定してくれる人が現る可能性があります。
反応が怖いと思ってまだ起こってもいない未来のことに怯えて行動できないのは、
理解者が現れるかもしれないというメリットを考えると勿体無いと思います。
弱みは全てさらけ出せると人間関係が楽
私の場合は弱みを全部さらけ出しています。
それで受け入れてもらえなかった時はその人とは縁がなかったということです。
弱みもさらけ出しているので気の合う人だけが残ってくれます。
友人の数なんて多くなくて良いのです。
これは私の体験ですが、
耳のことを話したくらいで変な噂を立てたりこちらのことを悪く言うような人間はいません。
もし居たとしても、そんなレベルの低い人間とは交流する必要はないので全く問題ないです。
そういう人と一緒に居ても自分のレベルを下げてしまうだけなので、もし嫌な反応をされたら「それくらいのレベルの人だった」と思って離れましょう。
私がオープンに話したことによって質問者さまのような理解者ができるということを考えたら、
悩みを抱えて生きるよりもオープンにしてより良い人間関係を築いて行った方が幸福度は上がると思いませんか?
強みとしてリフレーミングする
私は最初の方で「自分自身を受け入れている」と言いましたが、
『耳が悪くて音に対して敏感すぎる』というのは立派なアイデンティティなんですよね。
私にしかない個性なんです。
なぜなら、
この耳のおかげで、世界で自分にしか出せない美しい音が出せるから。
これって最強の強みだと思っています。
美しい音を追求していく上で、
「雑音とかうるさい音を聴いたら過剰に反応してしまう耳」を持っているというのは神様からのギフトだとさえ思っています。
「強みに変える」というのはなかなか難しいかもしれませんが、
質問者さまがメッセージでオープンに語ってくださったことで私は「伝音性・感音性」という今まで知らなかった単語と意味を知れたし、
耳が悪くても音楽をやっている仲間がいるって知れただけで心強いです!
やはり自分が言いづらいことを打ち明けるというのは理解者を作る上で大切だと思います。
例えば、プレゼンやデートとかで緊張しているとしましょう。
この場合、「久しぶりのデートで緊張してる!笑」とか「プレゼン、緊張していますがよろしくお願いします!」と先に相手に伝えてしまった方がストレスが減るし、
お互い分かり合えて気持ちも楽になります。
社会に出て音楽をやる上で困ること
これは実際のところ、あります。
私の場合ストレスを感じたらすぐに耳に現れるので、ストレスが過剰すぎると耳鳴りがおきます。
あと、今はほとんど体調崩すことはないのですが、
体調を崩した時に鼻をかむと鼓膜に穴が開くことがあります。
鼻をかまないようにしているので基本は大丈夫ですが、鼓膜が薄いのですぐ穴が開くんですよね。
鼓膜に穴が開くと常にBとかEsとかの音が聞こえるようになります。
しかしこれらは、体調管理さえしていればコントロール可能なことなので自分の耳と向き合ってしっかり管理していくしかないですね。
合わせの場合
【音楽家に必要な耳のケア】
80db以下なら耳へのダメージはほとんどないが、
一度聴力が落ちてしまった場合、
今の医学では聴力自体を回復させることはできないので普段からケアが必要。3db毎に強さは倍になるので、
それを聞いていられる時間は半分になる。
耳栓は持ち歩いた方が良いと思う。 pic.twitter.com/Xy1G2G2M4C— 佐野 主聞 , (@Shimon_Sano) 2019年1月17日
合わせが何時間も続くことがあると思いますが、
私は上の図を使って「長時間音を聞き続けると聴力が落ちる」ということを主張して適度に休みを入れながらやることにしてます。
ほとんどの場合、そんなこと言わなくても適度に休みが取れるのですが、
ずっと弾き続けようとする人がいた場合は上の表を見せて耳を休める重要性を説いた方がいいかも。
まとめ:内面的な悩みは打ち明けよう
なんも周りにいる人全員に打ち明けなくても大丈夫ですが、
打ち明けられずに自分が辛いというのなら打ち明けてしまった方が楽です。
恐らく、大抵の人の反応は「あ、そうなんだ」くらいで終わりです。
人間って思った以上に他人に興味がないものなんですよね。笑
私の場合は変なことを言われることもありませんでした。
質問者さまは匿名だとしてもメッセージで私に打ち明けてくださっているし、理解者がいるということもわかったと思います。
「実は私もそうなんです…」って人が他にもいるかもしれない。
人に内面的な何かを打ち明けると、大半の興味がない人の中からたまに理解者が現れることがあるのでその可能性だけでも打ち明けることは十分価値があると思います。