質問箱に相談が寄せられました。
音大生です。
一曲練習するのにも、ある程度区切って練習すると思うのですが、
毎日全部の部分練習をしないと心配になります。
そんな要領の悪さから、一度にたくさんの曲を練習することができないのですが、
今度コンチェルト試験で全楽章を演奏しなければなりません。
しかも、ラフマニノフの協奏曲など、難易度高めの曲が課題です。
その試験では、さらに同級生のコンチェルトの伴奏もしなければなりません。
今のままだと、全て仕上げる自信がないので、
何かアドバイスを頂きたいです…よろしくお願いします。
今は、相談や質問はLINEでやっているのですが、内容が内容なのでお答えします!
(特に音大生の悩みには答えたいので。)
脳科学的にイメトレの効果は証明されています。
練習するべき全ての曲を1日で弾くのは無理
ピアニストの場合は、全ての曲を練習するのは時間的に不可能です。
そこで解決法としては、
昔こちらの記事でも書いたのですが、
人間の脳って割と都合よく出来ているので、実際に全部練習しなくてもイメトレをすると脳が活性化して練習したと勘違いしてくれます。
↑この本に詳しく書いています。
もう音を出せない時間になった時とか、電車の中などのピアノを弾けない時に、
実際に自分が弾いているのをイメージしながら頭の中で音を鳴らしてみてください。
場合によっては、楽譜もイメージしてみてください。
「身体をこうやって使う」とか本当に詳細に自分が弾いているところをイメージするのです。
これ、本当に効果があります。
記憶にも定着します。
譜読みの時に、
頭の中に楽譜が出てきたり、音楽がループしたりしませんか?
あれを意識的にやってみて!
筋トレとかでも、
自分がなりたい身体をイメージして筋トレするのと、
何も考えずに筋トレするのとでは全く結果が違うそうです。
人生においても、
なりたい自分を意識して今現在のやるべきことに取り組むと成長が段違いになります。
演奏家としてだんだんと慣れていくから大丈夫
【練習する時間がしっかり取れない。】
これは、ごく一部を除く全演奏家が今現在体験していることです。笑
でも、みんなその中でやっていますよね。
これは、
しっかりと楽譜の読み方を理解して練習して本番を重ねていくことで、
更に譜読み効率が上がったり音楽的に弾くことができるようになっていくのもあるし、
脳の使い方や心と頭の整理の仕方がうまくなっていくのだと思います。
頭と心を整えながらやっていかないとキャパオーバーで死にます。
(私は過去3回ほどキャパオーバーで身体を壊したり、精神を病んだりしました。)
自分の能力のギリギリを攻めることで自分のキャパがわかる
いつも計画性があって、素晴らしい音楽を提供できる演奏家は素晴らしいですが、
それは間に合わせるための自分の能力を知っているんですよね。
なので、今回コンチェルト試験(本当に大変だよね)も自分の演奏家としての人生の素晴らしき学びと成長に繋がることは間違いないので、
とにかく体・頭・心を整理しながら必死に向き合ってみてください。
優先順位がわかる
部分練習したい箇所って、全ての部分が同じくらい出来ていないってことはないですよね!
ってことは、自分の中で練習すべき部分の優先順位がつけられるはずです。
それをノートとかスマホのメモ機能に書いて、
「今日はここをやった。明日はここをやろう」って感じでやってみるのはどうだろう。
部分練習ってその部分だけを練習するのではなく、
曲全体の物語の中でその部分がどう音楽的な意味を持っているのか感じながら練習することが大切なので、
「部分」をだんだん広げていく練習も必要で、それをやるとだんだん曲が自分の中に入ってくると思います。
「部分」と「部分」を全体として繋げていく練習を忘れないでね。
そうしないと1つの曲としての物語にならないので。
まとめ
今回の悩みって、
大学時代、全ピアニストが感じた悩みだと思います。
質問してくれてありがとう。
そして、卒業してからも日々感じると思います。
解決法や対処法は人それぞれあると思うのですが、
「自分がこれくらいの能力を持っていて、これくらい時間があれば良い音楽を届けられる」
というのを知るのはプロとしてやっていく上でとても重要だと思っています。
なので、学生でも責任はあると思うけど失敗を恐れずに、今現在自分ができることに集中してください。
そして、主観的に行動していくことと、自分を客観視して観察することができれば、
絶対に成長できます。