エッセイ

「練習をしない」という時間が必要な時

札幌に帰ってきて、ほぼ5日ぶりにピアノに触った。

5日間もピアノに触らなかった上にイメトレもしていなかったので、
指はふんにゃふにゃである。
ふにゃふにゃでも5分ほど弾けば元に戻るのですが、



ふにゃふにゃの指の時は
その身体の状態に逆らいさえしなければ、
身体に全く無駄な力を入れることなく
本来あるべき身体の状態で弾ける。


もし普段弾いている時に
無駄な力や動きをしている人がいたら、
数日間ピアノを弾かずに身体を元の自然な状態に戻すことで、変な癖を直すことができるはず。
(その時に力を入れて弾かないこと。力を入れない状態で音の芯に触れる感覚を養う。)


自分は、今回は全く変な癖はついていなかった。


「あえて弾かない」という練習は、
弾いている最中に親指や小指が反ってしまったり、内側に巻き込まれてしまう人におすすめです。

変な癖を直すとき最初は不快ですが、
慣れてきたら普段の練習から自分の身体の状態に素直に耳を傾けることができるようになります。


子供の時から無駄な力を入れて弾いてきた人は、なかなかその癖を直すのは難しく、相当な時間がかかると思います。

しかし、
故障しがちの人や、弾いている時に自分の指や身体に違和感を覚える人にとっては、
練習をしないその数日間が演奏家としての人生を全うするために必要な数日間かもしれません。
(まだ私自身、演奏家として全うした訳ではないので説得力はないですが…笑)

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(ここから先はただの日記です。)
今日は、ゆっくーーり音階を全調で弾いてから、
バッハの平均律第一巻を弾きました。

至福のひととき!



楽譜をめくって気づいたのだけれど、

平均律第1巻の中で、

19番のイ長調と、24番のロ短調だけ人前で暗譜で弾いてない!

19番に至っては、分析・勉強すらしてなかった!
もちろん遊んで弾いたことはあるけれど。

他の22曲は人前で暗譜で弾いたことがあるので、
来年はこの2曲を弾きます!

ということで、
19番イ長調に早速取り掛かりました。



バッハの平均律って本当に面白い。

初見で弾くとしても、音そのものを読まずとも図形のように楽譜を捉えて弾くことができる。


他の作曲家だと、
作曲語法を知っていて身体にも頭にも入っているとしても、
バッハほど図形のようには捉えることができない。
今の自分の能力ではまだ。


そして最近ずっとロマン派ばかり弾いていたので、

バランスを戻すために
バロック、古典、近現代もさらいます。

弾きたいのに手を出していない曲が本当に沢山あるので、
もっと意識的にレパートリーを増やしていくようにしよう!


「30歳頃から暗譜ができなくなる」と良く聞くけれど、
自分は20代後半から更に暗譜しやすくなった気がする。

ちゃんと頭を使って、それを心と身体と耳と結びつけて練習すればきっと大丈夫。

今のところは!

頭も心も身体も耳もちゃんと使える今の内にレパートリーを増やさないとな。

明日からまた楽しみです。