音楽

【意見】芸大のコンチェルトオーディションの拍手について

先日こういうツイートをしたところ、質問箱で返答してくださった方がいました。

https://twitter.com/Shimon_Sano/status/1133702610534277120

今日は、演奏と拍手について話したいと思います。
私がなぜ拍手をするのか、という根本的な部分の考えを書きます。

演奏の後に拍手がない違和感

コンクールの予選などでも拍手がない時があります。

私が経験した限りだと日本だけだと思う。
(もし海外のコンクールでも拍手がなかった経験がある方は教えてください。)

私は芸大4年生の時に奏楽堂でコンチェルトを弾かせていただいたのですが、
その演奏者を決めるオーディションが3年生の最後にあります。

そのオーディションは私の代まで全く拍手がなく、
演奏時間は10分くらいずつでどんどん止められて次の演奏者に変わっていくのですが、
私はオーディション前半の最後に弾いて、
後半は聴衆側に回って率先して拍手をし始めました。

私は1,2年の時に先輩たちのコンチェルトオーディションを聴いていた時から、
拍手がないことに違和感…を通り越して怒りのようなものを感じていて、

その理由は、

・演奏前に演奏者がお辞儀をしているのに拍手しないのはおかしい

・演奏も良いものばかりなのに演奏後に拍手がないのはおかしい

・そもそも良い曲を作ってくれた作曲家に対して失礼

・試験だろうがコンクールだろうが、音楽は音楽

私が一人だけ拍手をし始めたら、
「え、拍手していいの?」みたいな戸惑いの空気が場に満ちたけど、
段々と他の人も拍手してくれました。

そして、最後はみんな気持ちよく拍手していたと思う。
その拍手の風習は私が大学院を卒業する2011年くらいまではあった気がします。

でも今は無くなってるようで残念。

審査している先生方も実は拍手したい

これは私がコンチェルトオーディションを受けたあと伊藤恵先生と話した時、

恵先生
「シモンくん、自分の演奏が終わって他の人の演奏で拍手したでしょ!あれがよかった!」

迫先生
「うん、あれよかった」

恵先生
「私たちも拍手したいって思ってたのよぉ〜!でも審査している側だから拍手しづらいのよね。率先して拍手してくれて嬉しかった!ありがとう!」

みたいな会話がありました。
(過去のことなので一字一句合ってるわけはないのですが、内容は間違ってません。とりあえず、恵先生はめちゃくちゃ喜んでました。)

そう、先生方も拍手したいとは思ってるんです。
でも審査する立場としては率先して拍手しづらい。

確かにその心境はわかる。

でも、オーディションだとしてもその場で行われていることは “音楽”

・良い演奏だったらその気持ちを拍手で伝える。

・良い曲を作ってくれた作曲家に対する感謝の気持ちを拍手で表現する。

これが拍手の本質ではないでしょうか?

このため、コンサートなどでは良い演奏じゃなかったら拍手が小さくなる(海外ではブーイングもある)んですよね。

個人的な意見ですが、
試験だからといって拍手をしないっていうのは音楽に対して失礼だと思う。

音楽家になりたいなら、最低限作曲家に対する感謝の気持ちを持っていてほしい。

もし演奏が良いと思ったのなら迷わずに拍手してほしい。

その人の音楽に対する愛はそういうところにも表れると思っています。

反論としては

「TPOをわきまえろ」という反論があるかもしれません。

では質問しますが、コンチェルトオーディションの場合、

「学生が長い時間をかけて練習して命をかけた10分間の演奏に、拍手をしない理由がありますか?」

拍手をしない理由があるなら教えてください。

良いと思ったらその気持ちを拍手で伝える、これは自然なことではないでしょうか?

例えば、音楽でも拍手をしない時はあります。

結婚式の時の演奏や、
ヨーロッパのカトリック教会での礼拝の時のコーラスなど。

これは演奏者がメインではなく、
メインは「新郎新婦」であったり「神」であったりするためです。

まとめ

そろそろ「試験だから」とか「コンクールの予選だから」という浅い理由で拍手をしないのはやめませんか?

そこで行われているのは音楽です。

拍手をしないというのは音楽に反する行為だと思います。
もちろん、全く感動しなかったり良くない演奏だと思ったのなら拍手をする必要は全くありません!

でも、良いと思ったのに拍手がしづらい空気感…みたいなものはなくなってほしいと心から願っています。