この1週間で聞いた3つの話から、
クラシック音楽界における『常識という名の非常識』に対して意見を書きます。
どうかクラシック関係者、特に先生方は読んでくださると嬉しいです。
あなたがたの『当たり前』は、かなりズレている可能性があります。
エピソード1:謝礼がいくらかかるのか伝えるのが遅い
https://twitter.com/Shimon_Sano/status/1140186267373596672
みんな…!
レッスンや共演依頼など、とにかく仕事を依頼された時には
お金のことは一番最初に提示しよう!
一番最初のメールやLINEでそれが無理でも、そのやり取りの中で書けるはず。
自分の常識は相手の常識ではないし、
最初のやり取りでお金を提示せずに、後日「◯◯円かかります」は詐欺。
お金のトラブルは絶えないですよね。
自分が仕事を依頼された立場だった場合は、まずお金(謝礼)がいくらかかるのかを相手に提示すること。
一番最初のメールやLINEでそれを伝えられなくても、2通目には謝礼の金額を提示できるはず。
例えば、レッスンをメールで依頼された場合は、
ご連絡ありがとうございます。
レッスン代は1時間につき1万円+出張レッスンの場合は交通費、そしてスタジオレンタル代をお支払いいただいております。
それでもよろしいですか?
謝礼がいくらかかるか提示した上で「それでもいい?」って聞くことで、
レッスン代が高くて支払えない場合は相手も少しは断りやすくなると思います。
私もお金の話をしなかったがために今まで何度も迷惑をかけてきたし、対価がもらえない働きをしてきました。
自分にとっても相手にとっても良いことなど1つもありません。
エピソード 1
今回聞いた話は、
内容としてはアマチュアのピアニストがプロの室内楽奏者と共演できるというものだったそうですが、
アマチュアのピアニストとプロの奏者を仲介した先生が、
アマチュアピアニストに出した最初のメールで「謝礼が必要ですが…」などの前置きはなかったそうです。
そして、何ヶ月も経ってから「プロの方に◯◯円くらい払ってください」と言われたそうです。
それに対してアマチュアの方がモヤモヤしてメールしたところ
「相手の方はプロです。プロの方にはお礼を支払うのが普通です」という内容が送られてきたそうです。
これは、全くもっておかしいと思う。
そもそも、
お金が発生することに関して最初に金額を提示をしないで「払うのが当たり前です」と後日に伝えるのは、
ビジネスとして成立していないですよね。
そして、そのプロの室内楽奏者も、仲介した先生に金額を伝えていなかったのではないかと思います。
それってプロじゃないよね。
「自分はこういう仕事ができて、この仕事の対価はいくらです」と自分で提示できない人間はプロじゃない。そんなの仕事として成立しない。
例えば、
飲み物の自動販売機とかで値段が表示されてなくて、ボタンを押してみたら「1万円」って出たとしたらお金入れますか?
その場から立ち去りますよね?笑
売る前に値段を提示する。
これが世間の常識です。
ズレてる先生がいるとしたらそれはビジネスとして成り立っていないので、
今すぐその感覚を直してください。
直さないと、その人との関係が悪くなるだけです。
あと、お金を最初に提示しなかったくせに、
自分の非に関して謝りもせず、後から「いくらです」というのは、
完全に搾取する人間の発想なのでそういう人間からは離れましょう。
あなたの命が無駄に使われるだけです。
あなたがそのお金を稼ぐために使った時間(=命)を予告なく奪う。
これは完全に搾取。
「非常識な常識」を持っている人間とは距離を置くのが一番いい。
エピソード2:レッスン謝礼の他に菓子折り
皆さんは、その先生に初めてレッスンに行く時、
レッスン代の他に菓子折りなどを持って行きますか?
もしくは、先生方に質問しますが、
生徒は菓子折りを持ってくるのが当たり前だと思っていますか?
生徒側が自分の意志で持って行くのならそれはただの好意ですが、
先生側が「生徒は菓子折りを持ってくるのが普通だ」と思っているとしたら、その感覚は完全にズレてます。
しかも、酷い先生だと生徒さんが持ってきた菓子折りに文句をつける人がいるんです。
こんな言葉使いたくないけど、
人からいただいたものに対して文句を言うって人間としてクズだと思う。
例えば、
ピアノの演奏会が終わった後に聴いてくださった方がピアニストにお菓子や花束を渡したとして、
ピアニストがそのプレゼントを持ってきてくださった人に対して「あれじゃダメだから、ちゃんとしたものを持ってきてください」とか言えますか?
そんなことありえないですよね。
そんなありえないことをしてしまう先生が世の中には存在しているんです…。
エピソード 2
音大を受験する前にその音大の先生にレッスンをしてもらうのは割と一般的なのですが(※)、
これは私の友人が音高の時に初めて音大の先生にレッスンを受けに行った時の話です。
私の友人は、レッスン代が高くてそれを親に払ってもらうのが申し訳なく思っていたから、
菓子折りのお金は自分のバイト代でなんとか工面して2,000円くらいの菓子折りを持って行ったのだそうです。
そしたら後日、音高で習っていた先生から「あなた、音大の◯◯先生に◯◯(具体的なお菓子の商品名)を持って行ったんだって?」と言われたと。
そうです。その音大の先生が、音高の先生に告げ口をしたってことです。
生徒さんが、
好意でなんとか自分でお金を工面して持って行った菓子折りに対して文句を言う…これって生徒さんからしたらものすごくショックですよね。
こんな悲しいことないよ。
人からいただいた菓子折りに文句をつけられるほど、先生は偉くありません。
「音楽そのもの」から見たら、先生も生徒も対等です。
上下関係が当たり前だと思っている先生は、どうかその考えを見つめ直してください。
本当におかしいです。
(※)
私はこの「受験前に、受験する音大の先生にレッスンを受けに行くのが普通」という風習に対して、
「誰がみんなと同じ道を行くかよ。気持ちが悪い。ふざけんな。」と高校の頃に思って、
植田先生のレッスンを勧められていたにも関わらず、
植田先生はもちろんのこと、芸大の先生に一切レッスンを受けずに芸大を受験しました。
ちなみに、植田先生は習っている生徒が菓子折りを持っていったら逆に怒って絶対に受け取らない先生でした。
エピソード3:音大に受かったらボーナス謝礼
これはあるあるですが、
「音大に受からせてあげたんだから、10万円くらい謝礼があって当然でしょ」という先生の考え方。
これは、先生が無償で生徒のために何回も補講レッスンをして時間を使ってくれたり、
身銭を切って生徒のために地方から東京に来てくれたり…みたいなことがあったなら
10万円なんかでは済まないほど感謝の気持ちを伝えたいところです。
しかし、
レッスン代はちゃんともらってた上で特に生徒のために身銭を切らない先生でも、
「音大に受かった際にボーナス謝礼をもらうのが当たり前」だと思っている先生がいますよね。
その感覚、ズレてますよ。
搾取しないでください。
そして、搾取する先生はこの先消えます、確実に。
なぜならネットの世界では情報が簡単に共有できるからです。
搾取する先生はその名前がすぐにネットに流れます。
今搾取している先生は気をつけてください。
ビジネスとして考えると、
レッスン代を払っているのだからそこで既に完結しているはずです。
ボーナスなんて期待するのがおかしい。
本当に自分の時間とお金を生徒さんのために使ったのなら話は別ですが。
まとめ
以上、3つのエピソードで『クラシック業界の常識は非常識である』ことを説明しました。
クラシック業界に限らず、今までの常識を疑ってみるという視点は絶対に必要です。
それをしないと業界全体が衰退していきます。
常にアップデートできるところはないか探して、日々改善していく。
それが現代において、本来あるべき姿なのではないかと私は考えています。