コンサート

コンサートチケットの値段設定の方法(企画者向け)

こんにちは、しもんです!

企画者のみなさん、コンサートのチケット料金をなんとなく決めてませんか?

チケット代を決める時は、

「これくらいチケットが売れたらこれくらいの稼ぎになる」
「お客さんが買ってくれるような値段はこれくらいかな…」

などは考えたり計算すると思いますが、
今回はさらに踏み込んで私なりにチケット料金の設定に関する分析をしてみました。

 

想定読者 

・コンサートを自主企画で運営しようとしている演奏家のみなさま

・チケットの値段設定がわからない方

もちろんチケット料金のちゃんと設定するだけでは集客はできませんが、今日はビジネスとして捉えてちゃんとお金を稼ぐことが大切である、という話をします。

そして後半ではチケット以外のことに関しても話します。

コンサートチケットの値段設定の方法

日本のクラシック音楽界の現状

演奏会を自主企画したことのある人はわかると思いますが、
全く知識や経験がない方にもわかるようにクラシック音楽界の現状の話をします。

まず、今のクラシック界では、

「自主企画をしてもお金を稼ぐことはできない。
演奏会は赤字になるのが普通。

それでも好きなことをやっているのだから赤字でもいい。」

少しずつ改善はされてきましたが、まだまだこのような考え方が蔓延っている印象があります。

「演奏会で稼げるのは一部の有名な人たちだけ」…という幻想。

これをちゃんと打破することでクラシック界の未来がもう少し明るくなるのではないでしょうか!

ってことで本題に入ります!

チケットの値段設定方法

【コンサートチケットの値段設定について(企画者向け)】

『チケット代』に関して分析してみたのですが、

チケット代(一律)の設定の方法として、

経費などを差し引いて最終的にもらえる金額の目標を立てて、
席数の半分売れたらその金額を稼げるチケット代にするとちょうど良い値段になる気がする。

【例】
200席のホールで使用料やマネジメント料など全て含めて20万円かかるとして、
目標が10万円稼ぐことだとしたら

100席×3,000円のチケット=30万円(10万円手元に残る)

これ以下に設定するとジリ貧か赤字になる確率が高い。

「コンサートを企画する」ということをちゃんとビジネスとして捉えてお金をちゃんと稼がないと、演奏活動をし続けるのは難しい。

もし演奏活動でお金を稼いで経済的に回していくのが理想であるなら、
ちゃんと稼げる値段設定にすることがとても重要。

周りの目を気にしてる場合じゃない。 

Twitterの投稿のとおりですが、

私が今まで企画してきたコンサートを分析してみました!

チケット代が一律の場合、

最低限、
コンサート会場の席数の半分のチケットが売れた時に目標の金額を稼げるくらいの値段設定にしないとジリ貧になることが判明しました。

利益から経費を差し引いたものが手元に残るわけですが、

経費は演奏会を企画した当初よりも余計にかかることが多いので多めに見積もっておいた方が良いです。

「そのホールを使ってる他の人と同じ値段にする」という発想は危険

例えば、同じホールで他の方や立場としては目上の方などが安い値段でコンサートをやっていたとしましょう。

しかし、それには色々な事情があります。
例えば、その人たちは他の場所で稼いでいるから演奏会で稼ぐ必要がないのかもしれません。
もしくは、助成金をもらっているのかもしれません。

なので「先生がそれくらいの値段でやってるからそれよりも安いチケット代にしよう」というような考えでやると赤字になる可能性があります。

特に地方の場合、
先生は教えているばかりで演奏家としてはそこまで活動していない場合が多いですよね。

私たちは演奏家です。

演奏家は演奏でちゃんとお金とらないといけません。
(それ相応の価値を与えるのは当然として。)

他人の目を意識して小さくまとまっても結局稼げないので疲弊します。

売り上げ目標の設定金額が大きい場合

もし、先ほどの例において最終的に手元に残る金額の目標が30万円の場合は、

50万円を売り上げないといけないのでチケット代が5,000円になるわけですが、
それで売れるのなら全く問題ないと思います。

というか、本当に演奏を聴きに来たいと思っている人からしたら5,000円は高いとは感じません。

例えば、アルゲリッチの演奏が聴けて5,000円なら安いと思いませんか?

演奏する人によっても、そのチケットを買う人によってもチケット代が高く感じるか安く感じるかは変わるということです。

これはすごく大事な要因です。

『演奏会企画』をビジネスとして捉える重要性

このブログ内の他の記事でも書いていますが、演奏会をちゃんとビジネスとして捉えていく感覚は自主企画をする演奏家なら絶対に必要です。

例えば、チケット代を高くすることだけがお金を稼ぐための解決方法ではなく、
「同じプログラムで他の場所でも演奏する」というのも時間単価をあげる1つの方法です。

アイディアとしては、

・コンサートで物販をする
・VIPチケットを作る

なども簡単に考えつく案ですよね。

ちなみにVIPチケットの特典内容は人それぞれで良いのですが、

・演奏会後に演奏者との写真撮影をOKにする(VIP以外は写真撮影お断り)
・演奏会の録音を無料で差し上げる(録音単品でも購入できるがVIPチケットよりも割高になる)

など、色々な特典を考えることができると思います。

自分に価値を感じてくれるファンを増やす行動を普段からやる

これは先日のブログ記事でも書きましたね。

コンサートの集客についてもう一度考えてみたこんにちは、しもんです! 今日は札幌のザ・ルーテルホールで三上絵里香さんとピアノデュオリサイタルです! (当日券ございますので、...

 

自分の魅力をちゃんと普段から提供しておくことがめちゃくちゃ大事です。
これをやらずに仮にチケット代を高く設定しても集客は難しいと思います。

いや、そもそもどんなチケット料金にしたとしても集客が難しいと思います。

「演奏会に行きたい!」と思ってもらうための行動とは?


チケットを売ることだけを考えるのではなく、
チケットを買いたいと思ってもらえるような価値を提供することが大切ですが、

演奏のレベルを上げるだけではなく、

人間として興味を持ってもらうこともかなり大きな要因になります。

そのための方法の1つとして

「YouTubeなどで練習を公開する」という方法があります。

これだと演奏のレベルが上がるし、演奏にも興味を持ってもらえるし人間としても興味を持ってもらえる可能性があります。

一石三鳥です。

ちなみに、YouTubeで生放送をするためには
登録者1,000人以下の場合はスマホやタブレット以外の撮影機材を使う必要がありますが、
生放送をしなくてもスマホで撮影した動画をそのままYouTubeにアップロードすれば大丈夫です。
登録者1,000人超えているならどんどん生放送していくと良いと思います。

視聴者さんと生でコミュニケーションを取れるのは貴重です。

認知されてから人気が出てくるので、認知されるための行動を惜しんでいたら演奏家としてお金を稼いでいくのはキツイと思います。

来てもらいたい人に媚を売ったり、招待券を出しまくったりしていたらいつまで経っても演奏会の集客が苦痛になります。

自分に価値を感じてくれるファンを作っていくことは本当に大切です。

私は、招待券を出せなくなるくらいチケットを自分から買ってくれる人が増えることを目標としています。

そうすれば、今までは「招待券をもらって当然」と思っていた人たちも自分たちでちゃんとチケットを買うようになるでしょう。

もし買わないのならその人は搾取する人間だったというだけです。

あ、ちなみに私が招待券を差し上げているのはガチでお世話になった人だけです。
よく知らない先生とかには絶対に出しません。

恩師と調律師さんと、後援してくださった楽器店のトップの方々だけには招待券を差し上げています。

「招待券もらえるなら聴きに行って上げるよ」みたいなスタンスの人とは即離れましょう。

そんな搾取してくる人間は百害あって一利なしです。

ターゲットを『音楽関係者』に限定しない

これは意外と盲点ではないでしょうか?

みんな音楽関係とか地元の友達を頼ってチケットを売りますよね。

でもそれだけだと多分足りない…というか数が頭打ちになる。

口コミだけでうまくいくビジネスは少ないです。

新しいお客さんをどんどん開拓していく努力をすることでちゃんと『演奏を仕事にする』ことができると私は考えています。

まとめ:チケット料金の設定は真剣に考えよう!

チケット代を無駄に安くしても自分の価値を下げるだけです。

そして、チケットを買ってくれる人たちを音楽関係者に限定するのはやめましょう。

新規のお客さんをどんどん開拓していかないと本当に生きていけません。

「稼げなくても演奏できれば良いんだ!」というポリシーを持っているならそれを否定する気は全くありません。

ですが、その考え方を他人に押し付けるするのはやめましょう。
演奏でお金を稼ぐのがプロの演奏家です。

自分の価値を普段から提供しつつ、演奏会を企画した時にはチケットの値段をもっと真剣に考えていけば、

価値を感じてくれる人が喜んで聴きにきてくれるので集客における人間関係のストレスなどを感じることが極端に少なくなるし、

お金をちゃんと稼ぐことができるので次の行動をする時に選択の自由が生まれます。